「じーちゃん!」

レース翌日、睦海を連れて二人で賢司さんが入院する病院へ向かった。

病室へ入るなり睦海は賢司さんの元へ走る。

賢司さんも起き上がって睦海を迎えてくれた。

「そー、優勝したんだってね!おめでとう」

差し出されたその手を私は笑って握り返した。

今は少し体調が良くなっているみたい。

「今週末に退院するよ」

賢司さんが笑ってくれて、ホッとした。



でも…

「真由ちゃん」

私は真っすぐ賢司さんを見つめた。

「俺が死んだら、そーや祥太郎の事、よろしく頼むよ。
あと、母さんの話し相手になってあげて欲しい」

…涙が、零れた。