「父さん、もう危険だよね…」

帰りの車の中で、祥太郎くんはそーちゃんに聞いた。

聞く、というより、確認。

「うん。
…日曜日までもって欲しいね。
最悪、レースと重なるかも」

そーちゃんは淡々としていた。

「重なったら、どうするの?」

丁度、信号待ちになり、そう聞かれたそーちゃんは祥太郎くんを見て、

「レースには出るよ。
社長、出なかったらきっと、怒るから」

祥太郎くんは頷きながら、顔を下に向けた。

涙がポロポロと流れる。

私は慌てて鞄からタオルを取り出して祥太郎くんに差し出す。

「…ありがとう」

消え入るような声を出すと祥太郎くんはタオルに顔を埋めた。

「…祥太郎、大丈夫だよ。
俺がちゃんとお前の事を見ててやる。」

そーちゃんはそう言うと青になった信号を確認して、アクセルを踏み込む。

それぞれが不安で押し潰されそうだけど。

こういう時こそ、助け合わなくっちゃ。