「こんにちは」

9月。

まだまだ残暑が厳しい。

今日は実家に睦海を預けて賢司さんが入院した病院に向かう。

先日のレース翌日に体調が悪くなって入院した。

「真由ちゃん、ありがとう」

賢司さんは弱々しい笑みを浮かべた。

多分、次のレースには来れない。



「そーは、大丈夫?」

賢司さんは体を起こした。

「はい、大丈夫です」

私は椅子に腰を掛ける。

「だいたい9時には帰ってきますし。
ご飯もちゃんと食べて、睡眠も取ってます」

賢司さんは微笑んで頷いた。

…その様子を見ていると、来月までもつか心配になる。

生気がなくなっている。

「次は行けないけど…」

私を見つめて申し訳ない様子の賢司さんは

「そーの傍にいてあげてね。
あいつは一人でもやっていけるタイプだけど、真由ちゃんが傍にいるようになって、一皮も二皮も剥けた。
これからも支える、じゃなくて隣にいてあげて」