多分、この衣裳も今回が最後だな。

その週末に開催されたレースで私は思った。



お腹にいる子供が三つ子とわかってから。

もう、レースに来るな、とか。

家でじっとしてて、とか。

そんな事ばっかりそーちゃんは言う。

「私はそーちゃんの隣にいたいの!!
女心をわかってよ!!」

仲良く病院に行って、帰ってきてから喧嘩し続けて。

結局、賢司さんと彩子さんが間に入ってくれて、今回は転倒しないように注意を払いながらチームのレースクィーンをする事になった。



「ああ、真由ちゃんのその姿も見納めかあ」

つまらなさそうに祥太郎くんは呟いた。

「真由ちゃんの体が大丈夫な限り、あの手この手を考えてるわよ」

彩子さんがニヤリ、と笑った。

「…彩子さん、怖い事を言わないでください」

そーちゃんの冷ややかな視線が向けられる。

「怖くなんかないわよ!
あなたの隣でパラソルを持つのは真由ちゃんだけが許されるの。
…他じゃ、ダメなのよ」