私はニッコリと微笑んで返す。

…馬鹿にしているのかしら。

彼の余裕そうな態度を見るに,まだ搾れるだろう。

20,15…いや,12ね。



「じゃあ,いってらっしゃい」

「ハンッお前が言うべきなのはまたね,だろ?」

「そうだったかしら」



くすくすと笑いながら,私は彼を見送った。

大きな部屋の大きな窓からは,沢山の建物が見える。

綺麗と思うまでもない,見慣れた景色。

今日一杯分は今の彼が払っているから,どう過ごすかと迷う。

結局,私は意味もなく,広すぎるベッドに仰向けになった。

彼はただの客。

彼だけはほんの少し例外だけど,こんなことを始めて



「もう5年? くらい…かしら」



おもだるい腹部を見つめて,擦ってみる。



「これは出来ちゃってもおかしくないわね」



もちろん。そんなことにはさせないけれど。