「ねぇ,人の(大事な人)を寝取るのは,罪だと思う?」

「そりゃあ,俺の事か? そりゃあ大変罪深い」

「じゃあ泥棒は? 人殺しは? 詐欺は?」

「おいおい,まさか全部やってるなんて事はねぇよな?」

「まさか。いくつかは冗談よ」

「なら集中してくれ。こっちはそろそろ…」

「えぇ,そのままどうぞ……ぅ…っ」   



歳は32。自称大手会社の社長。1年もの付き合いで,金持ちなのはまず間違いない。そして私の1番の太客でもある彼は,それなのに"同業者"。また,妻子が1人。

事が済み,私は彼のプロフィールを頭に今一度思い浮かべた。

何事もなかったように,彼は片付けを始め,帰り支度も平行する。



「あなたもすっかりフケたものね」