彼女はメイシア・シャンパージュ。帝国市場にて頭角を現し続ける商家シャンパージュ伯爵家の一人娘にして、アンディザのサブキャラクター。
 人形の如き愛らしい容姿に重苦しい闇を抱く、魔女と呼ばれた少女……。
 生まれつき膨大かつ強力な火の魔力を持ち、生まれて直ぐにそれの暴走により自らの右手を失った事により、幼い頃より右手に魔導具の義手を持つ。母親譲りの延焼の魔眼は彼女の火の魔力の力を増大させ、見たもの全てを焼き尽くす事さえ出来る。
 ──その魔眼は、無詠唱で火の魔法を操る事さえ出来る代物と言われている。
 それが、彼女が魔女と呼ばれる由縁。それが、彼女の抱える闇だった。
 公式ファンブックでこの設定やメイシアのSSを見た私は、『なんでこのゲームの女の子って皆闇深いの?』と公式の鬼畜さを痛感した。

 ゲームではフリードルとマクベスタとサラと言うキャラのルートでのみの登場だったが……この子は、人々から恐れられる事を承知で力を振るった、とても心優しい子なのだ。
 それは帝国側の攻略対象のルートに定められたデートイベント雪解祭(ゆきどけさい)……その祭の最中、街の広場にて爆発事件が起きる。その事件は帝国に恨みを持つ者達の計画的犯行で、それにより多くの人が重軽傷を負った。
 混乱に乗じて行われる犯罪行為の数々……祭りを壊す男達を捕まえようと警備隊は躍起になるが、あまりにも人がごった返し逃げられてしまいそうだった。
 その一連の流れを、メイシアはたまたま視ていた。
 誰が爆発を起こし誰が犯罪行為をしたのかを。

『……燃えて』

 メイシアは己が視たままに、記憶にある男達全てを燃やしたのだ。……これが延焼の魔眼の真骨頂。一度視たものは、記憶に残る限り全て自在に燃やす事が出来る。例え、その時視界に映らずとも。
 この恐ろしい魔眼と膨大な魔力があれば……普段それを使っておらずとも、その噂だけで周りから畏怖されてしまう。それこそ──魔女、などと呼ばれて。
 突然十人近い男が火に包まれ更に現場は混乱を極める。火だるまとなる男達から人々が逃げ惑う中、メイシアはその場を動かずただじっとそれらを見つめていた。
 そこに現れたのが、ヒロインのミシェルちゃんだった。