「マリエルちゃん、こんな事になった家門を押し付けられて大変だろうけど……何かあっても無くても僕の事頼ってくれていいからね? 同じ侯爵家としていくらでも力にな──」
「うぉっほん。オリベラウズと同じ言葉になるのは癪だが……いざと言う時は俺も、フューラゼ侯爵家も君の力になると約束しよう」
「──わざとか? わざと僕の言葉に被せて来たなフューラゼ??」

 火花を散らすオリベラウズ侯爵とフューラゼ侯爵。するとその横からランディグランジュ侯爵達も現れて。

「お、俺も……ランディグランジュ侯爵家もマリエル嬢の力になろう。何かあったら連絡して欲しい」
「何やら面白い話をしているじゃないか。そうだな……おい、大公。私達もララルスの再建に協力しようじゃないか」
「え、あぁ……別に構わないが……」

 何やら話が恐ろしい方向に進み始めた。シャンパージュ伯爵家に侯爵家三家門に公爵家に大公家の支援を受けるなんて、そんな事があっていいのか?
 あまりにも贅沢……と言いますか、畏れ多いと言いますか、過剰な支援では??

「やったね、ララルス嬢。これだと予想よりもずっと早く家門の再建が可能かもしれない」
「……何かと皆様は決定が軽すぎるのでは?」
「ちなみにこの会合……だけに限らず、この家門同士の交流は毎度こんな感じだから、今のうちに慣れておく事をお勧めしよう」
「努力します」

 これからは私がララルス侯爵として彼等と渡り合う必要があるのだから。
 その後、会話の流れかその場にいた面々で食事をする事になり、シャンパー商会の誇る一流サロンに案内され、そこで眩い超高級料理を振る舞われました。それはもう、舌の肥えた皆様でさえも舌鼓を打つ程の美味。

 意外と和やかな食事の時間が続いていたのですが、食事の後にシャンパージュ伯爵が冗談交じりに「お代を払いたい人はいるかい?」と発言した事により空気は凍りついた。
 これ程の高級料理……きっととんでもない値段がすると全員が察していたからでしょう。
 表情の固まった侯爵達に向け、シャンパージュ伯爵が「ははっ! 冗談だよ、冗談」と小気味よい笑い声をあげると、オリベラウズ侯爵が「お前本当にそういうとこ!!」と食ってかかる。