「今日、こうしてこの場に集まって貰った理由は他でもないララルス侯爵家について。彼等の犯して来た重罪が確定された為、ララルス侯爵家を今後どう扱うか……それを我々で議論する事となった。良いな」

 皇太子殿下が朗々と語ると、私達は全員、異議なし。と首肯した。しかしあの屑はそうでは無いようで、

「お言葉ですが、例え皇太子殿下と言えども侯爵家にどうこうと口を出す権限があるとは──」

 馬鹿の一つ覚えに異議を申し立てた。皇太子殿下相手にあのような言葉を口にするなんて、命知らずなのかただの馬鹿なのか……呆れてものも言えないとはこの事ですね。
 許可なく発言するなと言われたばかりなのに勝手に発言するなんて、脳が無いのかしら。数歩歩いても物事を覚えてられる鳥の方がよっぽど優秀では?

「皇太子殿下、少々喋ってもよろしいですか?」
「許可しましょう」
「では……言い忘れてましたが、これは皇帝陛下直々のご指示なのですよ。此度のララルス侯爵家の件は皇太子殿下に一任する、とお言葉を賜りまして」

 ケイリオル卿がさらりと裏事情を明かすと、屑の顔が潰されたブルーベリーのように青くなっていった。そこからは屑も口を真一文字に結び、押し黙る。
 そこで皇太子殿下が「ケイリオル卿、ついでに進行を任せても良いでしょうか。貴殿の方がこの件に詳しかろう」と告げると、ケイリオル卿が「拝命致します」と背を曲げて、くるりとこちらを向いた。

「早速進行してゆきましょうか。まずは……そうですね、此度の告発の切っ掛けと簡単な内容の方を話していただきましょうか。シャンパージュ伯爵、そしてマリエル・シュー・ララルス令嬢はお立ち下さい。勿論、ここからはお二人共喋って下さって構いませんからね」

 ケイリオル卿の指示に従いスっと立つと、私の姿と名を見聞きした夫人達が「マリエルですって?!」「あのガキ……ッ!」「マジで生きてやがったのか」「……はぁ?」と口々に反応し、ケイリオル卿より「お静かに」と一喝されていました。
 するとここで、ずっと静観していたアルブロイト公爵が挙手し、発言する。