シードレンと言いマーナと言い、同年代のカラス達は妙に精神的な距離が近いんですよね……マーナは昔から私を姉のように見ている節がありますし、シードレンは……彼はよく分かりませんが、ぐうたらな所はあまり変わっていないようです。

 頼むから少しはイアンを見習って欲しい所ですね。イアンは昔から適切な距離を保ち、礼儀もあります。かと言って硬すぎず緩すぎず丁度いい塩梅の態度で私としても接しやすいところ。
 あまりにもフレンドリー過ぎるこの二人には本当に見習って欲しいですね。

「報告とは?」
「えっと、明日の昼にはララルス邸で家宅捜査が決行されるらしいです! あと、屑その一と屑その二が少し前に賭博と女遊びに出かけようとしたから、野盗に見せかけて皆で襲いました! 無事、全治三ヶ月の大怪我を負わせましたっ!!」
「全治三ヶ月とは……随分と手加減したんですね」

 屑その一が長男、そして屑その二は次男でしょう。私には兄が二人と姉が一人、そして妹が一人いるのですが……この中で一番まともなのは妹なんですよね。妄想癖が常軌を逸しているだけであって、後はただ小憎らしいだけの子供ですから。

 上三人は分かりやすい屑、小者、外道ですね。今朝邸に向かった際誰とも出会わなかったのは幸運と言えましょう。どれも雑魚と言ってしまえば、まあ雑魚なのですが……精神衛生に大変宜しくない者達ですので……関わるだけで人生の損失とも言えましょう。

「姉と妹はどうでしたか? 姉は男不足、妹は玩具不足で騒ぎ出す頃かと思いますが」
「流石お嬢様……! まさにその通りで、尻軽その一は外に出られない事に怒って、昼過ぎから新入りの庭師を部屋に連れ込んでその鬱憤を晴らしています。尻軽その二は意外と大人しくしてました。ちなみに、豚は丸焼きみたいに体を縮こまらせてずっと震えてましたよ〜、どうやらお嬢様が怖いみたいです!」

 マーナが意気揚々と報告をする傍で、シードレンが暢気に欠伸をする。
 数年程前までは妹もかろうじて『我儘娘』と呼ばれていたのに……気づけば姉と同様に尻軽と呼ばれるようになったみたいなんですよね。報告の際にカラス達が口にする名称がサラリと変わっていて、当時は驚いた覚えがあります。

 あの子供は一体何をやらかしたのかと。
 夫人の腹から産まれたあちらの四兄妹は、血筋を強く感じさせるその酷い性格で母や兄の背中を追うかのように頻繁に問題を起こしていました。
 妹はまだまともだと思っていたのですが、数年前の時点でもうあちら側に堕ちてしまったようです。何をやらかしたのか具体的には聞かなかったのですが、尻軽その二と、あの姉と一括りにされてしまう程の事をしでかしたのでしょう。

 まぁ、私としては割とどうでもいい話題ですが。
 それにしても、まさかもう明日にも家宅捜査が行われるとは。相変わらず仕事が早いですね、司法部は。
 であれば次に私が呼ばれるとすれば……早くて四日後とかでしょうか。そして屑の処罰は一週間もすれば実行される事でしょう。