あいつ等と最後に会ったのいつだっけな、なんて考えつつティーカップに新たに紅茶を注いでいる時、またノックも無しに扉を開く者が現れた。

「──ハローマスター! おひっさぁ〜!」
「──失礼します。王よ、次の上座会議での事なのですが」

 いや来るのかよ。しかもこのタイミングで。
 プラチナブロンドの髪に同じ色の瞳の女装癖のある男、時の最上位精霊ケイ。そして、アッシュグレーの髪に真っ黒な瞳の長身の男、終の最上位精霊フィン。
 噂をすればなんとやら……その両名が並んでボクの元にまでやって来たのだ。はぁ……とあまりのタイミングの良さにボクがため息をついている間、

「あれれ、ヴィーちゃんじゃーん。相変わらずマスターに気に入られてんね!」
「ども……ケイさんにフィンさん」
「ああ。いつも王の相手をしてくれて感謝します。これからも引き続き王の相手は頼みましたよ」
「えっ、フィンさん?」
「もー違うってヴィーちゃん! 僕の事はケイちんって呼んでっていつも言ってるでしょ!」
「いや流石にアンタ等にそんな馴れ馴れしくするのは……」

 エンヴィー達が挨拶と会話を交えていた。ケイもフィンも大概おかしな奴だけど、どちらもボクと同じ時を生き続けている最初の精霊だからか、他の精霊達からはボクの次に偉いとかそういう扱いを受けているそうな。

 まあ確かに二体とも精霊位階からは毎度除外されてるからなぁ……強過ぎるって理由で。
 誰に対しても基本的に態度を変えないエンヴィーではあるが、ボク達とアミィ相手にはそれなりに態度を取り繕う。何故ならボク達は偉いから。そしてアミィはボク達の愛し子だから。

「ケイ、フィン。エンヴィーにも一応立場ってものがあるんだ、それ以上は絡んでやるな。お前達に絡まれるとどう反応したらいいのか分からないって奴が多いんだ」
「ヴィーちゃんとかいつも僕達には素っ気ないし、ここぞとばかりに今ここで仲良くなりたいのにー!」
「やめなさい、ケイ。王がああ仰るのですから我々は従うのみです」

 ちぇっ、唇を尖らせるケイとその首根っこを引っ張り歩くフィン。二体から解放されたエンヴィーはげっそりとした顔で、「助かった……大先輩相手に下手な態度取れねぇって……」と呟いている。
 ボク相手には割と雑な態度取るのに、何であいつ等相手だと気を使うんだろう。確かに何やかんやでエンヴィーとはあいつが最上位精霊になる前からの付き合いだからな……だとしても二体への態度は気に食わないな。

「して王よ。次の上座会議の議題、まず初めに破棄する項目の選定についてなのですが。事前にこちらでいくつか候補を上げておきましたので、お目通しを」

 フィンが渡して来た書類には確かにいくつかの項目が箇条書きされていた。
 ふむ、ボクが真っ先に破棄したいと思っていた項目もきちんと候補にあるね。流石はフィンだ。気持ち悪いぐらいボクの事をよく分かっている。