「ああ、勿論内緒よ? 特にカイルとアルベルト」
「分かってるって」
「……分かり、ました」

 絶対外部に漏らすなよと圧をかけると、カイルもアルベルトも繰り返し頷いて、内緒にするぞとアピールした。

「でもさー姫さん。それ一応まだつけておいた方がいいんじゃないですかね? ほら、黒幕を表に引きずり出すまでの間に勘繰られないようにも」
「確かに。うーん……アルベルト、これもう一回つけられる? カイルに頼んで機能は停止させておくから」
「はい。必要、なら……それであの男爵が、ちゃんと裁かれるのなら」

 小さく体を震わせて、アルベルトは首輪を自らつけた。そしてカチャリと施錠する。
 今すぐ解放してやれない申し訳なさから、一連のアルベルトの様子をただ黙って見ている事しか私は出来なかった。
 アルベルトは『もうこれ以上誰も殺さない』と約束した。その為解放しても大丈夫だろうと判断し、カイルが絶対捕縛魔法を解除して、とりあえず彼は男爵の元に帰る事となった。
 カイルが大通り辺りまで送ってやるよ、とアルベルトに提案しそれを彼が承諾すると、アルベルトはふと私に向けて深く背中を曲げた。突然の事に目をぱちぱちとさせ戸惑っていると。

「俺の話を信じてくれて、ありがとうございました」

 アルベルトはそう言い残し、カイルの魔法で街に転移させられたようだ。カイルの行った偽装工作が上手く働いてくれるといいのだけど……。


♢♢


「──ここは、大通りのど真ん中……?」

 カイルの使用した座標指定形式の特殊な瞬間転移。それによってアルベルトは大通りの真ん中に転移させられていた。