男達の顔に驚愕が走る。しかしそれは程なくして薄気味悪い笑みへと変わった。

「おいおい、大人相手にそんな子ども騙しが通用する訳ないだろお嬢ちゃん。そんな玩具の剣で俺達の命を貰う? はっはっはっ! やれるものならやってみろよ、ほら」
「そんな事言ってやんなよ〜」
「頑張れよぉ、お嬢ちゃん」
「玩具の剣で何が出来るのやら!」
「ははははは!!」

 一斉に笑い声をあげ、男達はこちらを見下してくる。
 だがそれもそうだ……何せ長剣(ロングソード)を私のような女子供が片手で振れる筈も無い。普通は玩具か偽物だと考えるだろう。
 しかし、その考えはこの剣が特殊な物の為否定される事となる。
 この剣はエンヴィーさんが私の為にと用意してくれた異様に軽い剣。ペンと大差ない重さなのに、振るった刃はそれなりの重みを持つ特殊な剣。
 しかしそれは私が持った時のみであり、他の人がこれを手にした場合は相当な重量に襲われる。つまり、正真正銘私専用の剣なのだ。

「えいっ」

 わざとらしく笑みを作り、私は小太りの男の太ももに切り傷をつけた。もう少し力を入れていたら、多分、足なんて簡単に斬れていた事だろう。

「っぁあああ!? 俺の足が……っ!!」

 足に急激な痛みを覚えたのか、一人の男が叫び声を上げながら蹲る。
 他の男がキッとこちらを睨んで、

「テメェ何しやがった!?」

 と言いつつ懐から出した短剣(ナイフ)を向けて来た。

「貴方達がそんな玩具で何が出来るなどと言い出したので、見せてあげただけです」
「なっ……?!」

 私はそれに答えつつ、剣を振り上げてその短剣(ナイフ)を男の手から弾き飛ばす。
 唖然とし言葉を失う男達を見て、私はいける。と確信する。彼等は私より弱い。慢心している訳ではない、ただ単純に私の方が技術で勝るというだけだ。
 さて、この六年の特訓でエンヴィーさんから学んだ事……それを今ここで生かさずしてどうする!