「お嬢ちゃん一人? そんな水よりももっと美味しい物があるんだけどさ、俺達と一緒に遊ばない?」

 意地の悪い顔の男が顔を近づけながらそんな事を言い出した。それに同調するように、周りの男達も下卑た笑いを浮かべている。
 ……これはもしや、もしかしなくても、ナンパか?
 こんな奴等がアミレスをナンパ? 身の程を弁えろ、一回鏡で自分の顔見てこい。
 自分で言ってるようで少し恥ずかしいけれども、アミレス程の容姿の人間が、イケメンならまだしもよくお前達相手に首を縦に振ると思ったな。
 いいだろう……アミレスを舐め腐った事、後悔させてやる。

「……一人ですけど、それが何か? 私が一人で何をしようが貴方方には一切関係の無い事でしょう」

 とりあえず笑顔を作り、それを向けてみる。
 私の態度に男達は少し動揺した様子を見せた。そりゃあ驚くでしょうね、こんな十二かそこらの子供が大の大人数名に囲まれて平然とするなんて思いもしなかったでしょうから。
 先程の意地の悪い顔の男略して意地悪男は少し背を曲げて、まるで上から押し潰すかのように汚い笑顔で威圧してくる。

「はは、関係あるさ。これから君は俺達と一緒に楽しい事をして遊ぶんだから……美味しいものも飲ませてあげよう、君ぐらいの子供なら金が欲しいか? お小遣いだってあげるとも」

 男の汚らしい目が私の顔に注がれる。大きめのローブのおかげで私の体はほとんど隠れているのだが……それすらも想像してこの男共は満足気にしている。
 あぁ、そうか。やっぱりこの男達はアミレスを狙っているんだな……この気色悪い舐め回すような視線から察するに、慰み者にするつもりなのだろう。
 煮え滾るような怒りが沸いてくる。アミレスがこんな下衆共の妄想でいいように弄ばれているなんて。
 許せない……それに、この男達の慣れた感じからしてこいつらは常習犯だ。きっとこれまでにも何度も同じような事を繰り返している。
 許せないよなぁ…………絶対に許しちゃいけないよなぁ。

「では……貴方達の命が欲しいです」

 勢いよく剣を抜き、そのまま意地悪男の喉元に剣先を突き立てる。
 ローブが大きくなびいた事により見えた私の服装に唖然とする男もいれば、一瞬のうちに剣を構えた私に目を見開く男もいた。
 驚くのはまだまだよ、この六年の集大成を見せ──いや……実験させてもらおうか。
 私の実力が、どれ程人間に通用するのかを!