【皇族の恥晒し 野蛮王女 お前の存在はこの国の汚点だ、今すぐ死んでしまえ】

 これの送り主は、わざわざ私の為に手書きで手紙をしたためてくれたらしい。なんという時間の無駄使い。手紙とインクの無駄使いにも程がある。
 どうして嫌いな相手の為にこんな何もかも無駄な事をするのかまったく分からない。理解し難い行動だ。
 しかし、わざわざ手紙を送ってくれたのだ。これはしっかり保管して後々何かに役立てよう。……何に役立てるかは、まぁ、想像通りだよ。
 そして私は箱の中身の手紙を次々と手に取り開封しては、その内容のくだらなさと変化のなさに苦笑をこぼしていた。
 そんな様子を流石に変だと思ったのか猫シルフが私の頭の上に乗って、問うてくる。

「……どうしてアミィは平気なの? こんなにも罵詈雑言や殺害予告を書かれて……悔しかったり怖かったりはしないの?」

 便箋を折り畳み、封筒の中にしまいながら私は答える。

「だって、所詮は見ず知らずの人の勝手な感想に過ぎないじゃない。私をよく知る人に真正面から言われた罵詈雑言なら、きっとそれなりに堪えるだろうけど……一度も会った事の無いような他人からの批難とか、全くもって興味が無いもの」
「……アミィは本当に凄いね」

 シルフは感心したように、ほう……と嘆息をもらしていた。
 前世でいじめられていたとかそういう訳ではないと思うが、私はこう言った罵詈雑言や批難の数々を自分に向けられても何も感じないのだ。慣れているからなのか、本当に興味が無いからなのか……心よりどうでもいいと感じてしまった。
 だからこそ、笑って受け流せるのだ。

「それにしても、最近こういうの多いよね。この前も変な花貰ったし」
「あぁ、猛毒の花ね。そういう遠回しな殺害は企てるのに……どうして直接殺しに来ないのかしら。つまらないわ」
「直接殺しに来られたらボクも流石に焦るから本当にやめて欲しいな」