「で、お前達は今から何をするつもりなのじゃ?」

 すやすやと小さく寝息を立てるアミィの傍に座り、緑の竜──ナトラが足を立て頬杖をついて聞いてくる。
 ……それにしても何をどうして竜をここまで手懐けるのか。アミィがすごく変わった子だというのは昔から分かっていた事だけれど、だとしても限度があるってものだろう。
 まさか竜を飼い慣らすとはな……まぁ、アミィの戦力が増えた事はたいへん喜ばしい事なので、良しとしよう。雌みたいだしね、ナトラは。
 ボクは一度エンヴィーの方を一瞥し、ナトラへの説明を任せて一時的に離席した。

「今から検証するんだよ。姫さんに俺達の権能が効くかどうか……今まで試してなかったって事でな」
「精霊の権能か…………じゃがアミレスには我の権能に等しき呪いさえも効かなんだ。いくら精霊の権能と言えど効く保証は無かろうよ」
「だから試すんだよ。特に……これが効いたら一番良いのにな、ってやつを」

 エンヴィーからナトラへとこの後の検証の説明がなされる。そう、それが確かにネックなのだ。
 ナトラの言う通り、アミィには竜の呪いが効かなかったらしい。他にもアミィ自身の考察として、病や毒も効かない事から外来の有害なものは全て無効化されるのだろう。
 最初はボクもそれを聞いて、よっしゃ! と握り拳を作ったのだけど…………改めて考えてみれば。

 ──それ、もしかしなくてもボクの加護の影響なのでは?

 ピシャーン、と。頭を電撃が走った気分であった。