「……我が気持ちよさそうに……こんなにも温かい場で眠るのは久々だからじゃろうか。今までずっと、冷たい場で眠っておったから……」
「ナトラ……っ! これからは沢山一緒に寝ようね、温かい場所で一緒に寝ようね!」
「ど、どうしたのじゃ急に?」

 切ない表情で胸が締め付けられるような事を語ったナトラを、私は気がついたら思い切り抱きしめていた。これからはもうそんな思いさせないよ……そう伝えられたらいいなと思いながら。
 そんな私の行動にナトラは本気で戸惑っているようだった。しかし構わずナトラを抱きしめてその頭を撫で続けていると。
 師匠が猫シルフを抱えて立ち上がり、今度は部屋の扉の方へ向かった。そして「世話役とか呼んでくるんで待っててくださいな」と言い残して師匠は部屋を出た。
 少しして、扉がノックされると共に総勢十名にも及ぶ侍女の方々と共にメイシアが現れた。
 メイシアは同性同士という事で、ディオ達保護者組から代表して私の様子を見に来たらしい。相変わらず愛らしい笑顔をしている。

「ささっ、行きましょうアミレス様!」
「行くってどこに?」
「浴場です! こちらの王妃様がご好意で花風呂なる浴場を解放してくださってるんです。是非アミレス様にと!」

 あちらの侍女達は滞在中のアミレス様のお世話を拝命した選りすぐりの優秀な方々です。とメイシアが説明してくれたが……突然過ぎてまだかなり困惑している。
 だがしかし。私、確かにここ数日湯浴みはおろか水浴びすらしてない! 皆が優しさで何も言わないでいてくれるけど、きっとそれなりに臭う事だろう。
 …………少しでも早くお風呂に入らなきゃ、皆に嫌われる!!