「……部外者に聞かれる訳にはいかぬ話、と言う事か」
「えぇ。この情報を共有するのは最小限にとどめたくて」
「良い、話してみたまえ」

 オセロマイト王を始めとした皆の視線が私に集まる。
 私にはナトラをここに連れて来た責任があり、ナトラを守る義務がある。だからこそこの注目のど真ん中で、私は簡潔に話す事に決めた。

「結論から申しますわ。草死病《そうしびょう》は──病ではなく呪いです。それもただの呪いではなく、竜種の撒いた呪いなのです」
「──っ!?」

 オセロマイト王の表情が愕然としたものに移り変わる。更に、これを聞いてる皆も似たような表情をしている。
 まぁそりゃあ私もこれ聞いた時めちゃくちゃ驚いたもん、分かるよその気持ち。顎外れそうなぐらい驚くよね。

「この事を事前に話せず申し訳なく思います。しかし、あれが竜の呪いと分かれば呪われていた者はその場で即死してもおかしくないようなもの……呪いは自覚したら最後らしいので。なので誰にも話せなかったのです」
「ま、待ってくれ。では何故アミレス王女殿下は何ともなかったのだ?」

 悪魔からの受け売りを口にしていると、オセロマイト王が突然待ったをかけてきた。
 その疑問について私は自分の中で出していた仮説をもって答えた。

「私、毒と呪いが全く効かないみたいなんですよ。後多分……感染症などの病の類も。何だかそういう体質みたいで……まぁ、なので、どれだけこの国で動き回っても呪われる心配の無い私が原因を何とかする必要がありまして。それで一人でその原因の竜の所に行ってたのですよ、今朝」

 私の発言にオセロマイト王は茫然自失。ミカリアを含めたほぼ全員が開いた口が塞がらない状態に陥っている。

「で、その原因となっていた竜がこちらのナトラです。とっても可愛い子なので安心して下さい」
「我は偉大なる緑の竜、ナトラ。アミレスは我の恩人じゃ。アミレスの言う事だけは聞くつもりでおるからして……せいぜいこやつに媚びへつらうがよい、人間共」
「との事ですので安心して下さい」

 ナトラを抱き寄せ、皆に紹介する。ナトラは八歳〜九歳ぐらいの容姿だけれど……本当に軽いし可愛いなぁ。
 害はないよ! 安心して! とアピールするも、皆はざわつきながらナトラを見るだけだった。
 その空気を感じ、ナトラが意を決したように口を開く。