「そうですね、理由はズバリ……大司教に任せたくなかったからです。僕自ら行った方が早く済みますし。決して意地とかでは無いのですよ?」

 確かに貴女からの手紙を見て思う所はありましたがそれはそれこれはこれでして──。と暫くミカリアが喋っていたのだが、私はそれのほとんどを聞いていなかった。
 飲み物のつまみにと運ばれていたドライフルーツのようなものがこれまたとても美味しいのである。

「そもそも精霊様を遣ってまで届ける内容がちょっと消極的なのです。どうして僕自身に最初から頼って下さらないのかハッキリ言って不思議でした。丁度大司教達が個別行動を出来ない理由があったのでこうして問題なく僕が抜け出す事も出来ましたが……他ならぬフォーロイト帝国からの要請でしたら僕も最初から動きましたのに……」

 ミカリアが延々と力説するも……ラフィリアは微動だにせずまさに人形のようにそこに在るだけ、私は人間の食べ物を警戒しているナトラにドライフルーツを手ずからあーんしてあげていて。
 食べる直前は「なんじゃこれ、干からびておるわい」と難色を示していたナトラも一度食べたら「なんじゃこれ、どうして干からびてるのに美味いのじゃ!?」と目を輝かせてドライフルーツの虜になっていた。