「できる限り収束させて──穿て! 水鉄砲《ウォーターガン》!!」

 その魔法を叫ぶ。それに合わせ指先に私の全魔力のうち七割程が集中され、圧縮して解き放たれる。
 水鉄砲《ウォーターガン》は凄まじい勢いを伴って天井に衝突し、当然のごとく浸食していった。
 私がこの水鉄砲《ウォーターガン》を維持出来たのはたったの十一秒。それだけで本当に魔力が限界に到達しそうなのだ。
 ──だがしかし。十一秒が過ぎた頃には天井に綺麗な穴が空いていた。僅かではあるが、そこから太陽光が差し込んでいる。

「やったー! 成功したぁあ!」
『…………は?』

 見事地下大洞窟に差し込んだ太陽光を見て私は万歳した。
 竜の周りに展開していた氷の壁を無くし、私は緑の竜が呆然としつつ日光浴をしているのを眺めながら、最後の万能薬を一気に飲み干した。
 みるみるうちに回復する魔力。これなら思う存分竜に魔力を分けてあげられる、と安心した。
 その為にも緑の竜に触れてもいいかと尋ねた所、『……とくべつじゃからな、われにふれていいのは……あねうえたち、だけだったのじゃぞ』と許可を貰えたのでその鱗に触れる。
 そして手のひらから魔力を放出する感覚で、私の中にある魔力を緑の竜に流した。
 魔力の性質が違うからこれが不可能な場合もあったが、水とは自然の一つ……自然の権能を持つ緑の竜なら私の水の魔力でも受け入れてくれるだろうと踏んだのである。
 結果は見事大成功。日光浴による自然治癒とやらも出来たようで、一時間もすれば緑の竜は見違える程元気になっていた。
 ボロボロだった体は綺麗になっていて、体に巻きついていたツタも取れている。そして何より、黄金の瞳に生気が宿っている。
 結局復活した魔力の大半を失った私は、疲れからその場で座り込んでいた。だが目の前の元気な緑の竜を見たら……これで良かったのだと心より思えた。

『感謝する、心優しき人間の娘よ。我は誇り高き偉大なる緑の竜……受けた恩は忘れぬ。ほれ、何か望みを言うのじゃ。我がぽぽーっいと叶えてやるぞ』

 言葉に覇気も戻り、とても上機嫌な緑の竜が望みを言えと急かして来る。私、結構疲れてるんだけどなぁ……。
 まぁいいか。と一度息を吐き、緑の竜を見上げ望みを口にした。