「根元って言うか、もうただの地面じゃないの」

 とぶつくさ文句を言いながらスコップ型の氷を生み出し、地面を掘り返す。誰も見ていないから平気で水を氷に変えてるけれど…………それにしてもめちゃくちゃ手がかじかむわ。
 氷のスコップで掘り続ける事五分、明らかに怪しい石版が現れた。それは何かの蓋をするかのように一回り大きい石の壁の中にはめ込まれているようだった。
 これは明らかに何かの入口だ。しかしこんなにも重そうなもの、どう開けたものか……と考えた末に私は答えを出した。
 ──よし、ぶっ壊そう。
 雨垂れ石を穿つって言うしね、根気よくやってればいつか壊せるわ。愛剣を一度鞘に収め、そして鞘で思い切り殴りつける。
 するとどうだろう、石版にはヒビが入り……クッキーのようにボロボロに崩れていってしまった。
 何度か殴っていれば壊れるだろうとタカをくくっていたのだが、まさかまさかの一発で壊れてしまったのだ。
 えっ……こんなチョロくていいの……?
 と戸惑いつつもそこに生まれた穴を覗く。よく見えないが、音の響き的にはそこまで深い穴ではないようだ。
 耳を澄まして中の様子を聞いてみたものの、特に生物はいないようなので……意を決してその縦穴に飛び込んだ。