──これで、あいつ等との出会いの話は終わりだ。
 この後は……あの女との出会いに移ろうか。

 何故かやたらとガキに懐かれやすく、俺自身街のガキ共の為に色々やっている事もあって……俺は子供好きと勘違いされる事が多い。
 自分がガキの時に色々と苦労したから、その分まだ幼いガキ達には出来る限り楽に暮らして欲しかった。
 俺達は毎日、別に美味くもねぇ食べられる草や木の実を帝都郊外に行って集めていた。たまに街の大人が飯を分けてくれて……ガキだけで集まって生きてた俺達からすりゃそれが何よりのご馳走だった。
 だがその大人達も近頃は生きる活力を失い、街からはまともな大人が減りつつある。それでも俺は街のガキ共には少しでも美味い飯を食わせてやりたかったから、俺達が可能な限りまともな大人になろうと誓ったのだ。
 だから、俺達は日々仕事を探しては少ない額でも日銭を稼いでいたのだ。

 あの用心棒の仕事はどこかの酒場でおっさんに紹介してもらったもので、詳しい内容は聞かされていなかった。
 しばらく用心棒をするだけでこれだけの給金が貰えるなんて、と俺はおっさんから詳しく話も聞かずに、軽率にその仕事を受けてしまった。
 何せ俺みたいな貧民街に住む学のねぇ奴にゃまともな仕事は出来ない。そもそも雇われない。
 今までは街の大人達が食べ物を分けてくれたり、子供でも出来るようなドブ掃除の仕事をしていたが、もうそれだけでは足りないのだ。
 昔大人達が俺達にしてくれたように、俺達も大人になった今、街のガキ共に少しでも楽な暮らしをさせてやりたかった。
 だから俺はどうにかして金を稼ごうと仕事を探していた。よく情報が集まる酒場に行っていたのもそれが理由だった。
 そこでそんな美味い話を聞いてしまったのだから……ただ目先の給金に釣られて俺は仕事を受けてしまったのだ。
 そしてそれを、後で強く後悔する事になる。
 用心棒と言われていたから、俺は元々、女子供を抜いた男だけでいこうとしていた。俺とラークとバドールとシャルルギルとイリオーデは確定で、いけそうならジェジとエリニティとユーキも共に仕事に行き、クラリスとメアリードとルーシアンにはここに残って貰う予定だった。
 用心棒の仕事は夜間を担当して貰うと聞いていたんだ、そんな時間にあいつ等を用心棒が必要とされるような場所に連れて行ける訳がなかった。
 クラリスも性格はアレだが、見た目は街でも評判になるほど整っているとバドール達が言っていたし、メアリードとルーシアンは人の容姿に疎い俺でも可愛いんじゃないかと思う程愛らしいものだ。
 ……別に身内贔屓とかではないし、俺が育ての親みたいなものだからと親バカになっている訳でもない。ただの客観的な感想だ。