その後に来たのはユーキとジェジだった。いつだったか、俺が十二歳とかになった時だったと思う。
 二人はボロボロの服を着て、足首と手首に枷のようなものを付けて、裸足でここまで走ってきたのか足は傷だらけで血も出ていた。
 街に入ってすぐの入り組んだ路地で倒れているのをたまたまシャルルギルと俺で発見したのだ。
 とりあえず俺の家まで連れて行き、皆で怪我の手当をしたりちょっとした食事を作って渡したりしたら……二人は泣き出してしまった。

『……っ、こんにゃ、あったかいごはん……ぅぐ、ひさしぶりにたべた……!』
『……やさしくしてくれて、ありがとう……っ』

 目から大粒の涙を溢れさせながら、二人は声を震わせた。
 ジェジの体にある物珍しい耳や尻尾、ユーキの髪の間から見える長い耳……そしてこのボロボロの服と枷。俺達はやっぱりそう言う事か、と事情を察した──二人は本で聞くような奴隷という禁止された存在なのだと。
 いない事もないが、フォーロイト帝国には獣人があまりいない。街の大人曰く、獣人がいるとしたら遠くにあるタランテシア帝国だろうと。
 恐らくジェジはそこから無理やり連れてこられてしまったんだ。
 そしてユーキはエルフだった。正確には父親がエルフで母親が人間だからハーフエルフだ……と彼は言っていた。
 エルフもこの国では珍しい方で、いるだけで注目を集めるような存在だ。
 これまた街の大人から聞いた事には、エルフの一族は東の方のエルフの森なる場所に住んでいるらしい。なのでユーキも無理やりここまで連れてこられたのだろうと俺達は考えた。
 二人はもうすぐ売りに出されてしまうという所で命懸けで脱走して来たらしく、弱った体で一晩中走り続けていたから倒れてしまったらしい。
 遠すぎて故郷に戻る事は出来ないし、かと言って獣人と亜人の二人がこの国で平穏無事に生きていける保証も無い。
 そこで俺はジェジとユーキに提案した。