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「……いやぁ、驚きましたねぇ。まさか王女殿下の外出許可を要求してくるとは」

 王女殿下唯一の専属侍女の顔馴染みの彼女が部屋を出た後、私は帳簿を眺めつつ小さな笑いを零した。
 正直な話、王女殿下の外出禁止は『うろちょろされて下手に陛下の視界に入ってしまえば王女殿下がどうなるか分からないから』と言う理由の元、それとなく私が陛下に進言して陛下から王女殿下に課された命令だったのですが……もう解除しても大丈夫でしょう。
 王女殿下の事に関しては基本的に陛下より一任されております故、私の独断でも問題ないでしょうし。

「ふっ、楽しみですね……この先、王女殿下が一体何をするのか。まだまだこの楽しい時間が続くと良いのですが──」

 おっと、独り言にしては声が大きすぎましたね。別に誰も聞いてませんが。
 それでは私は彼女が提供して下さったこの帳簿を使い、罪人達を破滅させに行きましょうか。
 こう言った汚れ仕事は私の得意分野ですしね。