「はははっ! お前……っ、歳の割に抜け目無さすぎだろ……! はは、あっはっはっ!」
「……お金が欲しいらしいディオさん達の為なんですけど」
「そりゃあ、ありがてぇが……そんな事を十二のガキに言われる日が来るたぁ思わなかった。期待してなかったが、謝礼金か……随分といい報酬だ!」

 ディオさんが豪快に笑う為、そのディオさんに抱えられている私はそれなりの揺れを体感する事になる。急いで彼の服にしがみつき事なきを得た。
 それにしても、ディオさんは何か勘違いをしているみたいだ。これはあくまでもついでの事であって、報酬はちゃんと後々渡すつもりだったのに。

「これは報酬じゃないですよ?」
「は?」
「報酬はちゃんと別で、後日お渡しします。あっ、そうだお宅の場所お伺いしてもいいですか? 報酬を渡しに行きますので」
「…………は?」

 ディオさんは理解出来ないとばかりに鳩が豆鉄砲を食ったような顔をし続けていた。……何故だか報酬の話は信じてくれていないようだが。
 それも暫くすると元通りになり、クソ野郎をもう片方の手で抱えて、ディオさんは子供達の待つ噴水広場まで連れて行ってくれた。
 そこで彼から聞いたのだが、何やら私達を迎えに来る途中で偶然にも司祭をやっている男性と出会ったらしく、その人が快く子供達の治癒を引き受けてくれたのだとか。
 ……その話を聞いて、一瞬とあるお友達の顔が脳裏をよぎったのだが、まぁ気のせいだろう。
 そして私も目視していた奴隷商の追っ手は、ディオさんの仲間の方々が撃退したらしい。仲間の方々の話をするディオさんの横顔がとても嬉色に染っていた事から、ディオさんが本当に仲間思いなのだと、ひしひしと伝わって来た。
 そうやってしばらく(ディオさんが)歩いていると、大きな噴水と大勢の人々の姿が見えてきた。
 あちらの人達もどうやらこちらに気づいたようで。