何か方法はないかと探していると黒板が目に入った。

(そうだ!チョークを使って黒板に書けばいいんだ)


そう思って黒板の前へと移動するが、チョークはゼロ。

欠片さえもない。

1組どうなってるの!?


「狩野ちゃん?」

教室をウロウロする私を見て織田くんは不思議そうな顔をする。

(早く次の手を考えないと!)

そう思って後ろを振り返るとロッカーの上にプラスチック製の落とし物ボックスが置いてあった。

そこには消しゴムとマジックが一本。

(あれなら……)

私はそのボックスからマジックを手に取ると自分の左腕にペンを走らせた。


「ん?何してるん」

織田くんの驚くような声も無視して書き続けた言葉。

それを私は織田くんへと向けた。

ピンと伸ばした左腕には


《私も織田くんのことが好き》


そう書かれている。


伝えたいことは他にもたくさんあった。

だけど、今私が一番伝えたい言葉はこれだ。



数メートル先、織田くんはその言葉を確認すると

「狩野ちゃん大胆すぎん?それ、油性マジックやで」と言って笑った。

(あ…………)

「その言葉、俺とおんなじ好きやと捉えていいん?」

その言葉に強く頷く。