手を伸ばせば、瑠璃色の月



それから、瞬く間に数日が経った。

朝、確かに空に有明の月が出ている事を確認した私は、今日こそが泥棒さんが現れる日だと信じて疑わなかった。


朝は学校、放課後は父が帰ってくるまでに宿題を終わらせ、夕飯の手伝いをしながら母の終わらない愚痴に耳を傾けて相槌を打った。


『あんなに私の事を貶して何が楽しいんだろうね?ご飯にも文句をつけてくるんだから、それなら自分で作ればいいのにって思っちゃう』


なら、早く離婚すればいいのに。

どう考えても普通の家族なら言わないであろう台詞をぶつければ、それは出来ないの、といつもの返事が返ってきた。


…あのねお母さん、苦しんでるのはお母さんだけじゃなくて、二人の狭間に立たされた私達も同じなんだよ。

そう言いたかったけれど、それではまるで母でさえも否定する事になりかねないと思ったから口を慎んだ。



私には家族を家族たらしめる云々については良く分からないけれど、こうして地獄を見るくらいなら、自分は家族を作らない方がいいのではないか、なんて考える事も少なくない。

私にも少なからず忌まわしい父の血は入っているわけだし、もし子供が出来たとして、その子に無償の愛を捧げられるかも分からないんだ。

早くにその事に気付いてしまった岳は、気が変わる事はあるかもしれないけれど、既に結婚はしないと明言している。