手を伸ばせば、瑠璃色の月

「…あ」


窓に頭を押しつけながらそんな事を考えていた私は、ある事を思い出してパンと手を打った。


「あのね、美陽。そういえば、結局例のネックレスが見当たらなかったの」

「えっ?」


私の言葉を受け、夕日に顔の半分が照らされている美陽が、くるりとこちらを向いた。



美陽と朔に泥棒の話をしたあの日の放課後、私は一目散にあのネックレスの有無を確認した。

でも、アクセサリーボックスの中からはそれだけが忽然と姿を消していたんだ。

だから、やっぱりあの泥棒は実在したのかも、と一瞬考えてしまったけれど。

そんな非現実的なことは起きるはずがないし、せっかくの夢占いの結果を白紙に戻したくはなかった私は、半ば強引ではあるものの、完全にあの出来事を夢だと解釈したんだ。



「もしかしたら無くしただけかもしれないけど、…でも、やっぱりあれは夢だったって思うことにした!」


フフン、と腕組みをしてみせると、

「待って、逆にあれが現実だと未だに思っていたの?貴方の家に侵入しようと考える時点であり得ないんだから、夢だって何回も言っでしょう」

案の定、美しい顔を歪めたお嬢様から辛辣なお言葉を頂戴してしまった。


「あはは、そうだね」


美陽の顔は、“馬鹿らしい”と言っている。

それに気づいた私は、彼女と顔を見合わせて吹き出した。