手を伸ばせば、瑠璃色の月

「えっ?」


男子にしては高い声を持つ朔が出した声だとは信じ難かったのか、美陽が眉を上げて隣を向く。

私も同じ気持ちだったから、だらしなく口を開けてしまった。


彼は、私の台詞の何に反応したのだろう。

変な事でも言ってしまったかな。


でも、私がそうやって自己嫌悪に陥るよりも早く、

「あ、ごめんごめん!オッドアイの人ってそうそう見かけないし、凄いなーって思っちゃって!あはははっ」

と、彼が慌てたように腕を振り回して言い訳を始めたから、曖昧に笑って頷く事しか出来なかった。



「玉森ー、日誌取り忘れてるぞー」


その後、もっと2人と話していたかった私の気持ちを踏みにじったのは、いつの間にか教室にいた担任の一言だった。

そういえば、今日の日直は私だったような。


「あっ、すみません」


瞬時に謝罪の言葉を口にした私は、また後でね、と2人の友に手を振って教壇の方へと向かった。


「はいはい」


HR直前なのに自席に戻る素振りをまるで見せない美陽の柔らかな声が、背中越しに聞こえてくる。



でも私には、2人が交わしたその後のやり取りは耳に入ってこなかったんだ。


「悪党と仲良くなるなんて、知世もある意味凄いのね」