いつの間にか、ナレーションの先導で夜空には沢山の星座が姿を現していた。
そして、その左側で何よりも優しく温かな光を放っているのは、
「月だ…」
私と蓮弥さんが出会ったあの日を彷彿とさせるような、大きな大きな満月だった。
私の呟きが耳に入ったのか、蓮弥さんが体勢を変えたのが視界の隅に映る。
でも、私は一心不乱に頭上だけを見上げていた。
『皆様の左手にありますのが、地球の周りを公転している月です。古来より月は神聖なものとして捉えられ、この星を題材にした物語がいくつも生まれてきました』
真ん丸な月の中で、ウサギが跳ねながら餅つきをしているのがくっきりと見て取れた。
『そして、この”月”という言葉は告白の言葉としても使われています』
ナレーションの言葉は、私の耳を心地良く揺らしていく。
『有名な小説家である夏目漱石は、”愛している”という英文を”月が綺麗ですね”と訳しました。また、同じく小説家の二葉亭四迷は、その返し言葉として”死んでもいいわ”という言葉を考え出しました。この2つの台詞は非常にロマンティックな告白の言葉として、今尚多くの人に愛されているのです』
「…月が、綺麗ですね」
夜空に浮かぶ望月を眺めながら、ぼんやりとその言葉をオウム返しにした。
なんて綺麗な告白の台詞なんだろう。
そして、その左側で何よりも優しく温かな光を放っているのは、
「月だ…」
私と蓮弥さんが出会ったあの日を彷彿とさせるような、大きな大きな満月だった。
私の呟きが耳に入ったのか、蓮弥さんが体勢を変えたのが視界の隅に映る。
でも、私は一心不乱に頭上だけを見上げていた。
『皆様の左手にありますのが、地球の周りを公転している月です。古来より月は神聖なものとして捉えられ、この星を題材にした物語がいくつも生まれてきました』
真ん丸な月の中で、ウサギが跳ねながら餅つきをしているのがくっきりと見て取れた。
『そして、この”月”という言葉は告白の言葉としても使われています』
ナレーションの言葉は、私の耳を心地良く揺らしていく。
『有名な小説家である夏目漱石は、”愛している”という英文を”月が綺麗ですね”と訳しました。また、同じく小説家の二葉亭四迷は、その返し言葉として”死んでもいいわ”という言葉を考え出しました。この2つの台詞は非常にロマンティックな告白の言葉として、今尚多くの人に愛されているのです』
「…月が、綺麗ですね」
夜空に浮かぶ望月を眺めながら、ぼんやりとその言葉をオウム返しにした。
なんて綺麗な告白の台詞なんだろう。



