おかしいって、分かってた。


この世界にはびこる全ての悪も、私に絡まりつく壊れた絆も。



ふつうが欲しかった。

誰からも色眼鏡で見られないような、そんな世界が欲しかった。



綺麗な景色を綺麗と言えなくて、綺麗が何か分からなくて、


廃れた身体は、自分を守るために嘘をついた。



ほんとうがなくなって、にせものしか残らなくて。



大切な人を笑顔にさせるには、


私が犠牲になるしか方法はなかった。





でも、積もりに積もった塵が山になって、壊れて崩れて慟哭しそうなとき。


私は、夜空に手を伸ばす。




だってそこには、


「…俺、死んでもいいわ」


海よりも空よりも美しい、

永遠の瑠璃色に輝く貴方がいるのだから。