誰もいない、誰も見ていない。

そのおかげで鼻に詰められたテッシュ。

こんな姿はできれば友達にだって見せたくない。


そんなことを考えながら、乾いたティッシュを数枚手に取る。

そして、濡らした部分をポンポンと優しく叩いた。

それを何度か繰り返し行い、席に戻ろうとした時──。

突然、ガラガラッと音を立て開いたドア。


反射的に音のした方に目をやると、そこには私がこうなった原因ともいえる岬先輩が立っていたのだ。


「「………………」」



あっ、終わった。


宮崎花梨の初恋【完】


これがドラマならそんなテロップを打ちたい。