夕方にはダウンタウンに戻り、食事を済ませてから史哉のマンションへ帰ってきた。
「瀬那さん、これよかったら使ってください」
小さな紙袋を差し出す。
「なんですか?」
「お世話になったので、ほんの気持ちです」
ダウンタウンに戻ったときに立ち寄った店で買ったものだ。
「気に入っていただけるか心配ですが」
目をまたたかせつつ史哉が受け取る。
なにかプレゼントをしたいと、昨夜からずっと考えていた美織が選んだのはマグカップだった。高価なものではなく、気楽に受け取ってもらえるものがいいと決めた品だ。
使うシーンやドリンクを選ばない、ターコイズ色のシンプルなフォルムをしている。
史哉への感謝の度合いは、マグカップひとつで釣り合うものではないけれど。



