美織たちが足を踏み出した瞬間ぐらりと揺れ、思わず彼の手をぎゅっと握る。
「僕と手を繋ぐのは嫌?」
「い、嫌だなんて全然」
恥ずかしさで俯きながら首を横に振る。ただ、うるさく騒ぎはじめた心臓に困っているだけだ。
「それはよかった」
史哉は優しく微笑み、足をさらに進めた。
眼下には川が流れ、きらきらと太陽を反射している。
「……すごく高いですね。二百メートルくらいありますか?」
もっとある印象だが、あまり大袈裟にも言えない。恐怖のせいか、果てしなく高く感じる。
「そんなにはないと思います。せいぜい七十メートルくらいかな。下を見ると怖いから、真っすぐ前を見たほうがいいですよ。なんなら僕の顔を見つめてくれてもいいけど」
ふざけて言っているだけだとわかっていても、眩しすぎるほどの笑顔で言われたらドキドキせずにはいられない。



