やって来たキャピラノ渓谷には、針葉樹林に設けられたスリル満点の大吊り橋がある。
「……ここ、渡るんですか?」
「そのつもりだけど怖い?」
史哉は平気な顔をしているが、美織の前に現れた吊り橋は目もくらむほどの高さにあるうえ長い。立ち尽くしている間にも、観光客が渡るたびにゆらゆらと揺れているのだ。
「ちょっと怖いです」
決してかわい子ぶっているわけではなく、高所恐怖症でもないが足がすくむ。
「それじゃ、こうして歩きましょう」
「えっ」
史哉にいきなり手を取られた。
戸惑っているうちに彼が歩きだしたため、美織も進まざるを得なくなる。
「あ、あの……」
引っ張られるようにして吊り橋を渡りはじめた。



