美織の元へ駆けつけ、思いつく限りで近辺のホテルをあたったが、どこもかしこも予約でいっぱい。チープなホテルであれば空きはあるだろうが、セキュリティ面を考えると彼女には勧められず、史哉も頭を悩ませた。
美織が宿泊していたホテルは、じつはラ・ルーチェが傘下に置くシティホテルのひとつ。史哉の口添えでなんとでもなるのはわかっていたが、美織には権力をひけらかすところを見せたくない。日頃から肩書きに惹かれる人間ばかりを相手にしているため、今はそれを忘れたかった。
困っているお客に対してべつのホテルを斡旋しようとしなかったフロントの対応も謝罪したいが、ぐっと堪える。あとで総支配人に一報を入れておこうと心に留めた。
「僕のマンションへ来ませんか?」
その言葉に自分で驚く。頭で考えるより早く口が勝手に動いた感覚だった。
しかし夜も九時近くになり、彼女を放って帰るような真似はできない。寝泊まりできるゲストルームならマンションにある。もはやそれ以外に手立てはなかった。
「そ、そんなっ、お邪魔するなんてご迷惑をおかけするわけには」



