そう考えると、心なしか気持ちがしゅんと落ち込んだ。
その後、美織たちはウォーターフロントにあるグランビル・アイランドで地ビールを嗜んだり、パブリックマーケットで多彩な食材を見て回ったりした。
夕食は入り江に面した眺めのいいレストランでサーモンやロブスターのグリルを堪能し、宿泊先のホテルへ戻る。もう八時近いのに、外はまだ明るい。
「今日は本当にありがとうございました」
エントランスロビーで史哉に頭を下げる。
彼とはここでお別れだ。寂しさを覚えるのは、思いがけず楽しい一日を過ごしたせいだろう。
「僕のほうこそ、いろいろと連れ回したから疲れさせたかなって心配」
「いえっ、全然。とっても楽しかったです」
実感を込めて返す。本当に楽しかった。
素敵な時間を過ごしたからこそ名残惜しいけれど、もう覚悟を決める以外にない。
「では、明日も案内しましょうか?」
「……え?」



