文句のつけどころのない容姿や、やわらかな物腰と穏やかな口調を持ってすればモテないはずはない。それこそ選り取り見取りだろう。
(恋人はいるのかな……)
余計な詮索はしたくないが、いると考えるほうが自然だ。
(だとしたら、私とこうして一緒にいても平気なのかな)
でも、彼にしてみれば美織は女性というよりはただの観光客。性別も恋人の有無も関係ないのかもしれない。
そこでふと気づく。
(これって私の初デート?)
男性とふたりきりで一日一緒に過ごしたのは初めてだ。
二十三歳にもなって恋愛経験は皆無。デートすら経験がない。
中学まで共学だったが高校大学と女子校だったため異性の友人はできず、そんな機会に恵まれなかった。
社会人になって男性とも臆せず話せるようになったが、恋愛経験と呼べる段階にはほど遠い。
史哉が初めてのデート相手だと改めて気づき、急速に胸が高鳴りはじめた。〝かわいい〟なんて言われたのも、その原因のひとつである。
(瀬那さんにとってはデートのうちには入らないだろうけどね)



