ただでさえ観光に付き合ってもらっているのに、欲しいものまでねだるなんてあんまりだ。
値段なら先ほど確認済みのため、十ドル紙幣を差し出す。しかし史哉は頑として受け取らない。
「僕からのプレゼントです。安上がりっていう苦情なら謹んで受けますよ」
胸に手をあて、史哉がおどけて笑う。ウインクまで飛ばされ、心臓がドキリと震えた。
「安上がりだなんて」
とんでもない。わざわざ再入場してまで買ってきてくれたものだ。
「それでは遠慮なくいただきますね。ありがとうございます」
キーホルダーを両手で持ち上げて笑い返した。
その後、ロブソン通りにある十三種類の生ガキを食べられるレストランでオイスターバーを堪能し、ショッピングを楽しむ。
そこからバスで移動し、イングリッシュベイへ。バンクーバーに住む人の多くが毎日、日光浴や夕焼けを見に訪れるという。



