気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】


美術館と聞くと、しんと静まり返った場所を想像するが、ここは違っていた。カジュアルな雰囲気というのか、ワイワイと気軽に鑑賞する人たちが多い。

それはそれで気負わずに済み、なんとなくホッとする。出会ったばかりの男性と一緒にいる照れくささをやわらげるにはちょうどいいからだ。

館内を回りながら展示作品をじっくり鑑賞する。ガイドツアーもあるらしいが、あれこれ説明してくれる史哉がいる美織には当然ながら必要ない。

史哉と「この絵、素敵ですね」と言い合いながら時間をかけてゆっくり巡り、最後にギフトショップへ立ち寄る。ポストカードと小さなマグネットを自分へのお土産として購入し、美術館をあとにした。


「トーテムポールのキーホルダーも買えばよかったかな」


階段を下りながら無意識に呟いた美織の独り言を史哉が拾う。


「戻りましょうか。さっき手に取って見ていたものですよね? 再入館ならできると思います」
「あ、いえ。大丈夫です。ごめんなさい」
「ちょっとここで待ってて」
「えっ、瀬那さん!?」


美織が戸惑っている隙に、史哉が下りてきたばかりの階段を上がっていく。ゆったりとした優雅な身のこなしなのに足が速い。