「兄さん、美織さん、おめでとう」


史哉の背中を若干強めに叩いて激励する。


「次は碧唯の番だぞ」
「俺? 俺はまだいいよ」


笑いながら手を大きく振る。


「そうはいかないと思うぞ。政次叔父さんが碧唯の相手を物色中だ」
「それは困ったね。まぁ縁談を画策しようにも、俺はもうしばらくイタリアで自由気ままにやっていくつもりだよ」


双子と言われても疑わないくらい、ふたりは体形も顔もよく似ている。
今日の朝、彼に初めて会った陽向も『パパがふたり』と驚いたくらいに。

瀬那家の家政婦の房江から少し前に聞いたが、ふたりとも近所や学校で有名なイケメン兄弟だったそうだ。兄の史哉は神童ともてはやされ、弟の碧唯はスポーツ万能だったのだとか。


「美織さん、兄さんのことどうぞよろしくお願いします」
「はい。碧唯さんの幸せも祈ってます」