「ずるい?」
「史哉さん、カッコよすぎます。黙って準備してくれていたなんて」
「気持ちが伴わないままこっちで暮らしても後悔は残ると思ったから。美織がそうしたいと思うまでは内緒にしたかったんだ」


なんて粋なサプライズだろう。鼓動が騒がしく暴れて収拾がつかない。


「史哉さん、ありがとう!」


迷わず彼の胸に飛び込んだ。


「喜んでもらえてよかった」
「うれしすぎて、なにをどう伝えたらいいのかわかりません」
「もう十分伝わってるよ。おじい様と離れる不安はあるだろうけど、ビデオ通話でやり取りもできるし、どうしても実際に指導してもらいたいときにはいつでもプライベートジェットで連れていく」


史哉のそばで三人で暮らせるうえ、大好きな琉球ガラスも作っていられる。美織にとって至れり尽くせりだ。


「本当に、本当にありがとう、史哉さん」
「美織を喜ばせることは、僕の人生の一番の重点事項だからね」