(もしかして史哉さん、私以外にもいるの……? 沖縄と東京で二重生活を送ることに快く賛成してくれたのは、この女性がこっちにいるから?)
つまり浮気をしているのでは。彼女も、史哉の体調不良を心配してここへ来たのではないか。
――そういえば。
昨日、史哉が電話をくれたとき、『話したいこともあったんだ』と言っていたのは、もしや彼女のことなのではないだろうか。
〝浮気相手の女性に本気になったから別れてほしい〟
史哉に言い渡されるシーンが勝手に脳内再生され、胸を圧迫する。
そうでなかったら、若い女性がここを訪ねてくる理由はない。
エスカレートしていく妄想が、美織をじりじりと苦しめた。
『あの、すみません。いらっしゃらないですか? カギを使わせてもらってもいいかな』
応答ボタンを押しておきながら、なにも答えないインターフォンに向かって女性が繰り返す。スペアキーまで持っているなんて、絶対に黒だ。
「美織? 誰か来た?」



