翌朝、隣の部屋で目覚めた美織は身支度をしてキッチンに立っていた。
鍋の中でぐつぐつ煮えているのは、オーソドックスな玉子粥である。味見をして器に盛り、史哉の寝る部屋に運ぶ。
ノックをするとすぐに中から「はい」と返事があった。
「おはようございます。体はどうですか?」
ベッドの上で体を起こした史哉は、昨夜見たときよりも顔色がよさそうだ。
サイドテーブルにお粥をのせたトレーを置き、カーテンを一気に開ける。眩しい光に目を細めた。
「美織が来てくれたおかげでだいぶいい。今測ったら平熱だった」
ベッドに腰を下ろした美織にうれしそうに体温計を差し出し、証拠を示す。彼の言うようにデジタルの数字は〝36.5〟と表示されていた。
宣言通りに熱を下げてくるとはさすがだ。
「よかった」
「だからといって午前の便で帰るとは言わせないよ」
昨日の彼の『シような』という言葉が蘇り、頬も耳も熱くなる。



