しかし、そこでふと気になる。
「お仕事は大丈夫ですか?」
明日は木曜日。日本はゴールデンウィークで休みだが、カナダは平日だ。
「ご心配には及びません。自由の利く仕事ですので」
普通の会社員ではないのかもしれない。やはり弁護士など、比較的融通の利く職種なのではないか。
それなら、ぜひお願いしたい。
「じゃ、お言葉に甘えさせていただきます」
ただでさえ楽しみな明日がさらに待ち遠しくなり、自然と笑みが零れる。
「ホテルはどちらですか?」
「ここに泊まってるんです」
美織が人差し指を下に向けると、史哉は目をパチッとまたたかせた。
「そうでしたか。では明日の朝九時頃、エントランスロビーで待ち合わせましょう」
「はい。ありがとうございます」
うれしい誘いに心を弾ませながら、史哉とのつかの間のひとときを楽しむ。もちろん彼がしたお代わりは、美織のおごりだ。
念のために連絡先を交換し、彼は「心していただきますね」といたずらっぽい笑みを浮かべてカクテルを飲んだ。



