「お茶はいらない」
「そう、ですか」
意図せず見つめ合うようになった彼の目が心なしか熱を帯び、美織の鼓動を弾ませる。手を引かれてソファに戻された。
「僕がどれだけこのときを待ち望んでいたか、美織にわかる?」
付き合っていた当時はともかく、再会して想いを告げ合って以降、ふたりは清らかな関係のまま。こうしてふたりきりになる時間も持てずにきた。
「やっと美織に触れられる」
吐息交じりの低く甘い声が切なく胸に迫る。肩を引き寄せられ、彼の腕に抱き込まれた。
「……私も史哉さんに抱きしめてもらいたかった」
東京と沖縄で離れているからこそ、その想いは余計に強くなる。
でも三人で過ごす限られた時間は、陽向と史哉の触れ合いに割きたかった。これまでの陽向の成長を見られなかった彼に、父親を知らなかった陽向に、その時間を取り戻させてあげたかったから。



