「……それじゃ、ちょっとだけね」
美織が折れるしかなかった。
「やったぁ。パパ、はやくはやく」
「わかったわかった」
陽向に急かされ、史哉が潔く洋服を脱ぎはじめる。逞しい上半身が露わになったため、美織は咄嗟に背を向けた。
(ど、どうしよう……)
了承したのはいいが、恥ずかしさに変わりはない。のぼせたふりをして湯舟から上がろうにも、体を隠すものがなにもないときた。
乳白色の入浴剤が入っているのがせめてもの救いだ。
「パパ、ひなたもあらうー」
「ひなたはもう済んだだろう?」
「パパをあらうの」
「そうか。じゃあ頼んだよ」
ふたりの楽しそうなやり取りを背後に聞きながら、美織ひとりだけドキドキと胸を張り詰めさせる。しばらくして洗い終えた史哉は、陽向を抱き上げてバスタブに入ってきた。



