向かって左側には緩やかなカーブを描く階段が上へ続いている。メゾネットタイプのようだ。
どこもかしこも綺麗に整えられているのは週に二回、ハウスキーパーを頼んでいるからだという。何食か分は作り置きもしてもらい、何不自由せずに暮らしているらしい。
史哉にキッチンやバスルーム、二階の各部屋を案内されて陽向は大興奮。史哉の両親が用意してくれていた恐竜のぬいぐるみをひとつ抱えたまま、ボールのようにぴょんぴょん跳ねながら見て回る。
「史哉さん、さっきお義父さんやお義母さんとお話しした件なんですけど……」
「美織がいつ東京に越してくるかって?」
「はい」
史哉と話す前に彼の両親に尋ねられたため、順番が逆になってしまった。
「それなら美織は心配しなくていい。さっき父さんたちにも言ったけど、美織には大事な仕事があるだろう? 結婚したから一緒に暮らさなければならない決まりはないからね」
「でも、史哉さんはそれでもいいんですか?」
社長という重責を担う立場にいながら、結婚しているにも関わらず妻は遠く離れた沖縄の地。そばで支えてほしいと思うのが普通だろう。



