「陽向くんが来るから、張りきって用意したの。気に入ってもらえるかしら」
春子が陽向の手を取り、リビングの一画に誘う。そこで初めて遊具やおもちゃが置かれたコーナーが作られていることに気づいた。
緊張して史哉の両親しか見えていなかったのと、リビングの広さが尋常ではないせいだ。
滑り台付きの小さなジャングルジムやブランコ、ブロックや陽向の大好きな恐竜のぬいぐるみまである。
「わあ! いっぱーい!」
陽向は春子の手を振り解いて一目散に駆け出した。
自分と同じ背丈のぬいぐるみに抱きつき、「ママーっ、見てー!」と振り返る。目をキラキラさせる様子に、美織までうれしくなる。
きっと史哉から、陽向が恐竜を好きなのも聞いたのだろう。
「こんなに素敵なものまで用意してくださりありがとうございます」
「史哉にあなたと陽向くんのことを聞いてから、春子も私もどうやって陽向くんを喜ばせようか考えるのが楽しかったよ。この歳になってワクワクできるとは思わなかった。美織さん、こちらこそありがとう」
「うれしいお言葉の数々、本当に……」



