口を開いた美織を止める。史哉に自分の気持ちを伝えようとしているのが、痛いほどに伝わってきた。
だが、それなら順番は逆。自分からもう一度はっきりと想いを告げたい。


「陽向くん、少しだけここで待ってくれる?」


抱っこしていた陽向を下ろし、彼女に向かい合う。


「美織、結婚しよう。なにがあっても、この先ずっと一緒だ」


どんな困難があろうが、ふたりだけはなんとしても守り抜く。


「史哉さん……」


唇を噛みしめ、今にも泣きそうな美織をそっと引き寄せ、強く抱きしめた。


「はい」
「三年半前に言えなかった言葉をやっと言えた」


込み上げる深い想いが胸を熱くする。